Googleが2021年2月4日に、報道機関と提携してニュースを配信する「Googleニュースショーケース」をオーストラリアで開始すると発表しました。同社は1月に、ニュースの使用料を報道機関に支払うことを義務づけるオーストラリアの新法に反発し、オーストラリアからGoogle検索などのサービスを撤退させる意向を示したばかりでした。

Google News Showcase launches in Australia

https://blog.google/products/news/google-news-showcase-launches-australia/

Google will pay some Australian publishers after threat to leave market boomerangs

https://www.androidpolice.com/2021/02/04/google-will-pay-some-australian-publishers-after-threat-to-leave-market-boomerangs/

かねてからGoogleは、「ニュースサイトを巡回して記事の情報を抜き出し、そこから多額の広告収益を得ている」と指摘されており、ニュースパブリッシャーからは不平を訴える声が相次いでいました。これを受けてオーストラリア政府は、ニュースコンテンツから得る収益をコンテンツの権利元であるメディアに分配することを義務づける「ニュースメディア交渉法」の策定を進めていました。

GoogleやFacebookがニュース収集・配信で得ている収益を既存メディアに分配するルールを作るよう政府が動く – GIGAZINE

オーストラリア当局の動きに対しGoogleは、「人々が無料または安価に情報を得ることができなくなる」と反発。2020年8月から、オーストラリアのGoogle検索のページに「Googleの使い方が危険に晒されています」とポップアップ表示するなど、オーストラリア当局との対立を深めていました。

Google検索に「Googleの使い方が危険にさらされている」というポップアップが出るように – GIGAZINE

Googleとオーストラリア当局の対立は、2021年に入ってさらに激化し、Googleは1月22日に「メディアのコンテンツ使用料支払いを法律で義務付けるなら、検索サービス提供を停止する」と発表しました。検索市場でGoogleに大きく水をあけられていたMicrosoftはこれに乗じて、「Bingをオーストラリアで成長させる準備はできている」とオーストラリア当局に水を向けています。

Google検索がオーストラリアで停止する可能性を受けてMicrosoftが「Bingを成長させる準備はできている」と首相と対話 – GIGAZINE

そんな中、Googleは2月4日に公式ブログを更新し、Googleニュースショーケースをオーストラリアでローンチすることを発表しました。Googleニュースショーケースは、報道機関と正式に提携した上で記事を配信する枠組みで、Googleはこれにより合計10億ドル(約1055億円)の記事使用料をニュースパブリッシャーに支払うとしています。2020年10月の発表当時はドイツとブラジルのみで展開されていましたが、対象地域はその後日本、イギリス、フランス、カナダ、アルゼンチンなど世界各国に拡大しています。

Googleでパブリッシング製品パートナーシップの責任者を務めているケイト・ベドー氏は、発表声明の中で「私たちは、オーストラリアのニュースパブリッシャーと綿密に協力してGoogleニュースショーケースを開発しました」と述べて、オーストラリアの報道機関と連携を深めていると主張。また、Googleのオーストラリア地域公式Twitterアカウントは、「Googleニュースショーケースは、報道に対するこれまでの投資の中で最大級のもので、オーストラリアのニュース業界をサポートし成長させるための、公正で実用的な方法であると確信しています」と述べて、公平性を強調しています。

オーストラリア撤退をほのめかしてから1カ月もしないうちにGoogleニュースショーケースを開始したことについて、報道関係者の間では「Googleがオーストラリア当局への態度を軟化させたことを示している」との見方が広がっています。海外メディアのAndroid Policeは、「Googleニュースショーケースにより問題が全て解決するわけでも、同社がオーストラリアの新法を順守すると決めたというわけでもありませんが、使用料の取り決めについて一歩踏み込んだ協議をする用意があるという意思表示ではあります」と指摘しました。

また、ニュージーランドにあるオークランド工科大学のジャーナリズム研究者・Merja Myllylahti氏は「市場から撤退すると脅した直後にニュースショーケースを始めたというのは、絶妙なタイミングとしか言いようがありません。注目に値します」とコメントしています。