アマチュア無線家が、偶然から極めて膨大な通信が行われていることを発見したことをブログで報告し、その通信が一体どんな目的で使われているのかについて意外な推論を展開しました。

KA7OEI’s blog: Intruder at the top of the 20 meter amateur band?

http://ka7oei.blogspot.com/2020/12/intruder-at-top-of-20-meter-amateur-band.html

「KA7OEI」のコールサインで活動しているアマチュア無線家のKA7OEI氏は、インターネットを使用可能な無線システムであるWebSDRを整備している最中に、正体の分からない不審な通信を発見しました。

その通信が以下。KA7OEI氏は、20mバンドと呼ばれる14MHz帯の電波で、強力な信号が発せられていることを突き止めました。

この信号に興味を引かれたKA7OEI氏は、アメリカ本土に点在する複数の受信機を使用して、電波のTDOA(到達時間差)からその発信源を測定する測位法を試してみました。その結果、信号はシカゴ周辺から発信されていることが分かりました。ただし、この方法ではあくまでおおよその位置しか分からないため、どこにあるどんな施設から電波が飛んでいるかを特定することは不可能とのこと。

どこから発信されている信号かは分かりませんが、非常に強力な電波による通信が大都市で行われていることから、KA7OEI氏は前述の通信の正体は「短波を使った高頻度取引(HFT)ではないか」と予想しました。

HFTとは、インターネットとアルゴリズムを使用して、極めて高速かつ高頻度な株売買の注文を行うという取引手法のことです。HFTの詳細については、以下の記事を読むとよく分かります。

世界初の「高頻度取引」はどのようにして始まったのか? – GIGAZINE

by Francisco Gonzalez

KA7OEI氏によると、光ファイバーの中を通る光の速度は、自由空間での速度の3分の1しかないとのこと。そのため、光ファイバーでの通信は電波通信と比べるとデータの到着が若干遅くなってしまいます。この差は人間が感じることができないほどわずかな差ですが、1000分の1秒以下の世界で取引を行うHFTでは決定的な差になり得ます。

この「無線通信と光回線の速さの違い」を利用して、少しでも有利にHFTをしようとしたのが謎の通信の正体だと、KA7OEI氏は考えています。HFT自体は違法なものではありませんが、無許可で電波が使うのは法律に抵触するため、KA7OEI氏は不審な通信に関する情報の提供や、無線管理者への通報を呼びかけました。

KA7OEI氏の記事を取り上げたインターネット掲示板・Hacker Newsには、「HFTを行っている金融機関がシカゴの付近に電波塔を建設するとの申請を当局に行い、その(PDFファイル)許可を受けている」という情報が書き込まれています。