新しく始まった特集『「好き」だけ残して、シンプルに生きる』は、ライフハッカー[日本版]の新コンセプト「WORK FAST, LIVE SLOW.」を体現するようなキーパーソンのインタビュー集です。

第2回は、アメリカ・サンフランシスコを拠点に世界で活躍するDJ/プロデューサー・Qrion(クリョーン)さんのインタビュー。今回は前編『楽しいばかりじゃない。それでも「やりたいことだけやる」』に続いての後編です。

Qrion

1994年、札幌生まれのDJ/プロデューサー。現在はサンフランシスコを拠点に、Mad Decent、Moving Castle、Anjunadeepなどのレーベルからリリースを続ける傍ら、DJとして世界最大級の音楽祭「Tomorrowland」や「EDC Mexico」のステージに立つなど、ダンスミュージック・シーンの最前線を走り続けている。

前編でお話しした通り音楽のことばかりを考えている私ですが、曲づくりの際には建築物の写真を見てインスピレーションを得ることがあります。

Tumblrでかっこいいなと思う写真をリブログしていた時、広大な土地や森など自然の中にいきなりガラスの建物や近未来的な人工物がある風景が好きだということに気づいたんです。決して建築構造に詳しいというわけではないのですが(笑)。

やっぱり、自分が満足できるクオリティに近い形でアウトプットするには、心地良い環境に身を置いたり、心惹かれるものや胸が高鳴るものを見たり感じたりすることが大切だと感じます。

日本にいたらダム巡りとかもしてみたいですね。

音楽ができるなら地球上のどこにいても同じ

音楽活動をしていない時はYouTubeを見たりTwitch(Amazonのライブストリーミング配信プラットフォーム)を見たり、フリーターのような生活を過ごしています(笑)。今はレストランなどお店もあまり営業していないので、スーパーへの買い物以外は、ほとんど家にいますね。

アーティストの友人は、コロナ禍であっても家族で公園に行ったり、観光に行ったりとアクティブに過ごしている人もいるのですが、自分は人との関わりが苦手すぎて1人で家で過ごしちゃうんです(苦笑)。

思えば、コロナ禍以前も特に旅行に出かけたりすることもなく、「海外生活ならでは」といったこともしていませんでした。結局音楽ができれば、それだけで十分なんですよね。

正直に言うと、コロナ禍になって「日本にいてもあまり変わらないんじゃないか」と考えたこともありました。

音楽人口の規模に関しては、日本よりもアメリカのほうが大きいので仕事はしやすいものの、結局家で曲をつくってインターネットにアップロードして、レーベルとメールでやり取りして…と考えると、音楽ができるならどこにいても一緒なんじゃないかなと。

とはいえ、今後イベントやフェスが開催されるようになればライブ活動を再開していきたいので、しばらくはアメリカでの生活を続ける予定です。

仕事も趣味も、自分には音楽しかない

こんな世の中になって、未来がどうなるかわかりづらい世の中になってしまいましたが、自分としてはやっぱり曲づくり、アルバム制作、そしてツアーへ…というサイクルを10年、20年と継続して活動していきたいと思っています。

音楽以外に興味のあることがあまりないんですよ。仕事も音楽だし、趣味も音楽を聴くことだし。自分には音楽しかないんだなと思います。

そういえば、一時期料理にハマっていたこともあったのですが、最近住んでいる部屋に虫が出るようになって。せっかく趣味になった料理もあまりできなくなってしまいました(笑)。

「やりたいことへの挑戦」は積み重ねになる

曲づくりを始めた高校生の頃は、周りと同じように卒業後は大学か専門学校に進学しようとなんとなく考えていました。

もともと勉強は苦手だったのですが、正直「将来学歴があったほうがいろんなことがしやすくなるから」という惰性的な理由でした。そうしたら父から「そんなのじゃダメだ」と言われて。

「本当にやりたい目的がないのなら行かせない」「俺が納得できるプレゼンができるまではダメだ」と反対され続けたんです。

それがきっかけで、真剣に「自分の好きなこと、やりたいことを見つけて、それで生活していくにはどうしたらいいんだろう」と考えて。最終的に「音楽が好きだから音楽をやっていきたい」と、進学はせずにバイトをしていました。

結果として今、自分は音楽で生計を立てているわけですが、決して順風満帆というわけではありません。今回お話したこと以外にもたくさんの失敗をしてきました。でも、そうした失敗も無駄にはなっていないと思います。

自分が何かで迷った時に、「やりたいことに挑戦した」という経験の積み重ねが自分の中にあって、それが糧になっている気がします。

だから、辛いことがあっても、それを乗り越えてずっと音楽をやってこれたんじゃないかと思います。まだまだなんですけどね。

やっぱり、自分が幸せになるにはやりたいことをやったほうがいいんじゃないかなと思うんです。漠然としていて申し訳ないのですが、もし何かやりたいことがあるのなら自分を信じて好きなことに挑戦してみてほしいと思います。

次の拠点はテキサス・オースティン

私が今思い描いているのは、テキサスのオースティンに次の拠点を置くこと。今まで訪れた街のなかでとても印象に残っていて気に入っているんです。

自分のお店を経営している人が多く、やりたいことを周りの目を気にせずにやっている雰囲気があると感じました。あと、実は音楽も盛んでクラブも結構あるんですよ。

位置的にもアメリカの中心部なので、サンフランシスコやニューヨークなど東西どちらへも飛行機で約3時間の距離。コロナが落ち着いてイベントに行く生活が戻ってきた時でも、移動がしやすくていいかなと思って。

新しい土地で、これまでとは違ったインスピレーションも受けられそうでワクワクしています。

My Favorite

Qrionさんのお気に入りは、仕事で使用しているスケジュール管理アプリ「Asana」。マネージャーとのやりとりはすべてAsanaに集約しており、スケジュールの共有からファイル、メッセージの送受信も行なえるのでとても便利なんだとか。

もう1つは、スマート照明「Lumiman」。自宅で過ごす時間が多いため、心地良い部屋づくりのために愛用しているとのこと。スマホで色や明るさを変えられるほか、タイマー設定ができるので1日の生活リズムに合わせて活用しているそうです。

▼前編はこちら

楽しいばかりじゃない。それでも「やりたいことだけやる」