マイクロワークのサイトに登録して仕事をするのは、Uberで車を運転したり、DoorDashで食料品を配達したりするのと同様に、とても魅力的に思えます。

インターネットに接続できれば、パソコンで簡単な作業をするだけでお金を稼ぐことができるからです。ただし、よくある話ですが、マイクロワークは巷で言われているほど簡単な副業ではありません。

知っておくべきことを以下にまとめてみました。

「マイクロワーク」の本当の意味

マイクロワークとは、一連のマイクロタスクのことです。社会学者のAntonio Casilli氏は、マイクロタスクを「断片的で報酬の低い生産プロセス」と定義しています。

企業は、大きなプロジェクトを小さなタスクに分割し、インターネットに接続していれば誰でもできるくらいのサイズにします。そして、そうしたタスクを請け負う人をわずかな報酬で雇用します。

こうした雇用はたいてい、人材派遣を行なう第三者機関を介しています。

大企業は、Sama(旧称Samasource)のような民間企業を利用し、中小企業はAmazon Mechanical TurkやFiverr、Clickworkerのようなユーザー向けプラットフォームで働き手を見つけます。

マイクロワークの種類は、控え目に言っても非常に多様です。広告をクリックしてトラフィックを誘導するような単純なものもあれば、発言内容を書き起こしたり、ファイルをフォーマット化したりするような少し複雑なものもあります。

多くの場合、Google、Amazon、Netflix、Meta/Facebook/Instagramのような10億ドル規模の企業は、マイクロワークの契約者を大量に雇って、機械学習アルゴリズムや人工知能製品のためのデータを生成したりレビューしてもらったりしています。

作業受託者には、作業にかかった時間ではなく、完了したタスクごとに決められた料金が支払われます。

これは目新しいことではありません。有償の仕事が歴史に登場してから、人はずっとタスクごとに報酬を得てきました。

マイクロワークとは単に、そうしたタスクを可能な限り小さくし、それを実行する労働者を、雇用主からも労働者同士でも、完全に見えないようにしたものです。

この不可視性は、マイクロタスクの根源的な本質です。人類学者のMary L. Gray氏などは、マイクロワークを「ゴーストワーク」と呼んでいるほどです。

連邦政府の最低賃金を下回る報酬

マイクロワークについて知っておくべき最も重要なことは、報酬がほんのわずかだということです。

最も人気のあるプラットフォームの1つ「Amazon Mechanical Turk(以下AMT)」では、「作業依頼者」が作業受託者に支払う報酬は、1案件につきわずか1セント(0.01ドル)に設定できます。

この最低額を超える設定は、高くつきます。

Amazonは、作業受託者に支払われる1セントにつき20%の手数料を徴収しますが、10件以上の割り当てが必要なタスクの場合には、手数料が40%にまで跳ね上がります。

当然のことながら、これは大多数の労働者の低収入につながります。

2676人のAMT労働者が従事した380万件のタスクについて、2017年に調査した結果、彼らの時給中央値はわずか2ドルで、7.25ドル以上の時給を得ていたのはわずか4%でした。

2019年には、同じ研究者らが1238人のAMT労働者の人口構成と賃金を調査しました。その結果、米国を拠点とするAMT労働者の時給中央値は3.01ドル、インドの労働者ではわずか1.41ドルであることが判明しました。

こうした賃金格差は、マイクロワークが抱える公然の秘密を浮き彫りにしています。マイクロワークには不平等がつきものなのです。

大規模な契約を扱う企業は、「インパクト・ソーシング」と呼ばれる方法で候補者を探します。

これは要するに、賃金を低く抑えられるからという理由で、難民などの絶望的な経済状況にある人をターゲットにする手法を、当たり障りのない言葉で表現したものです。

2012年の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載されたマイクロワークに関する記事が、意図せずしてその正体を暴いています。

実際に報酬を得るだけでも、かなりの労力を要する

低賃金に加えて、マイクロワークでは、報酬を得るためにかなりの無賃労働が必要になります。よさそうな案件が出てくるまで募集を見て回り、仕事をし、納品して、承認を待ち、口座にお金が振り込まれるのを待たなければなりません。

AMT労働者にはよくあることですが、成果物が受け入れられなかったり、プラットフォームがアカウントを停止したりすれば、万事休すです。

問題は、ほかの労働者と切り離されて孤立すること

マイクロワークの最も狡猾な側面は、あらゆる手段で労働者を完全に孤立させていることです。

多くの労働者の契約は、誰が同僚なのか、さらにはどんなプロジェクトに取り組んでいるのかさえもわからないようになっています。

10億ドル規模のアルゴリズムを、わずかな時給で学習させていたとしても、労働者本人にはまったくわかりません。

ライターのPhil Jones氏は2021年10月、ブラジルのメディア「DigiLabour」のインタビューで、こうしたマイクロワーク特有の苦境を次のように語っています。

インド、フィリピン、ベネズエラといった、このタイプの仕事が多く外注されている国々のマイクロワーカーたちは、矛盾した状況に置かれています。

彼らは、組織化してストライキを行なえば、こうしたプラットフォームに深刻な混乱を引き起こすだけの大きな潜在力を持っています。

ですが、彼らの仕事は非常に細分化されており、自宅やインターネットカフェで一人で作業することが多く、秘密保持契約やアカウント閉鎖の脅威によって身動きが取れなくなっています。

現状では、マイクロワークをするための良い方法はありませんが、だからといって、人が生活するためにはお金が必要だという事実が変わるわけではありません。

あなたや知り合いが、数あるサイトの1つに登録しようとしているなら、ほかの労働者たちとつながるのが1番です。

自分が選んだプラットフォームのフォーラムや、Redditのサブレディットに参加しましょう。AMTに登録しているなら、「Turkopticon」のスクリプトをインストールしましょう(これを使えば、詐欺や怪しげな作業を報告できます)。

一人でやろうとしないでください。集団行動こそが、この状況から抜け出す唯一の方法なのです。

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Source: GREEN EUROPEAN JOURNAL, THE VERGE, Amazon Mechanical Turk, arXiv org, CORE, The Guardian, Harvard Business Review, digi labour, Turkopticon