ある日、電車に乗っていると、2人の男の子とそのお母さんと思しき3人が乗り込んできた。私が座っていた席の隣が一つ空いていた。お母さんはそこに男の子2人を座らせ、自分はその前で立っていた。見たところ30代前半くらいの若いお母さんだ。男の子は3歳と5歳という感じだ。座った男の子の隣には、20代前半の大学生と思しき男性が座っていた。しばらくすると、ふとその男性が立ち上がり、「よろしければどうぞ」と、お母さんに席を譲ろうとした。子ども2人と一緒に座ったほうがいいという心遣いからだろう。しかし、お母さんは「いえいえ、いいです」と座るのを断った。男性が「次で降りますから」と言っても「いえいえ、結構ですから」と頑なだ。結局一度立ち上がった男性は再び座り、言葉通り、次の駅で降りて行った。お母さんは結局、その席に座り、そのまま目的地まで乗っていった。