ジェネレーティブAIはますます印象的かつ面白い存在になってきているが、このテクノロジーはそもそも、データがなければ何もできない。つまり、どんなAIの心臓部にもデータベースが不可欠ということだ。少なくとも、ある大手エージェンシーのテクノロジー部門トップはそう見ている。機械を訓練し、タスクを実行および自動化、そして情報を統合させ、要求どおりのコンテンツを生成させるには、反復学習/訓練が欠かせない。新設された電通のデータ&テクノロジー部門でトップを務めるシャーリ・ゼルサー氏は、データおよび分析の世界を熟知しており、電通のなかでは少々珍しい、テック部門の女性リーダーだ。「我々はいまや、ジェネレーティブAIのおかげで、あらゆるデータをほぼ瞬時に手に入れられる環境にいる」と同氏は話し、「その点がいま現在、我々と他社とのもっとも大きな違いだ。クライアントに対して、そうした類の情報へのアクセスを瞬時に提供できる」と意気込む。2024年3月に移籍するまで、ゼルサー氏は電通のデータユニットであるマークル(Merkle)の分析&テクノロジーのグローバルヘッドを務め、さまざまな地域を股にかけて総勢5600人のスタッフを抱える部門を統括していた。現在は、電通アメリカスのCEOマイケル・コマシンスキ氏の直属として、データ&テクノロジー部門のグローバルプレジデントを務め、クライアントフェイシングテクノロジーにフォーカスする新チームを率いている(そのテクノロジーには、Dentsu Connect[電通コネクト]やMerkury[マーキュリー]といったデータプロダクト、同社の業務の主軸領域であるメディア、CXM、クリエイティブ関連のAIが含まれる)。今回、ゼルサー氏はデータプラクティスがAIの行く末をどう変えるのか、サードパーティCookie非推奨化対策に同エージェンシーはどう臨むのか、そしてジェネレーティブAIの発展においてバイアスおよびプライバシーが最大の課題になる理由について語ってくれた。